北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は26日、同国の国防科学院が25日に「新しく開発した新型戦術誘導弾」を発射したと伝えた。北朝鮮は25日朝、日本海側に向けて弾道ミサイル2発を発射していた。
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのは約1年ぶりで、アメリカのジョー・バイデン政権が1月に発足して以降で初めて。
バイデン氏は、米政府として「適切に対応する」としている。同国と日本、韓国の3カ国は発射実験を非難している。
北朝鮮は国連安全保障理事会の決議で、弾道ミサイルの発射実験を禁止されている。
「目標を正確に打撃」
朝鮮中央通信によると、「2基の新型戦術誘導弾は、(北)朝鮮東海(日本海)上600キロ水域に設定されたターゲットを正確に打撃した」という。日本政府は飛行距離を400キロ超と推定しているが、北朝鮮側の発表が正しければ、これより長く飛行したことになる。
発射実験を監督した李炳哲(リ・ビョンチョル)氏は、「この兵器システムの開発は、われわれの軍事力強化と朝鮮半島に存在する各種の軍事的脅威の抑止にとって、大きな意義を持つ」と評価したという。李氏は、実験に立ち会わなかった金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記に結果を報告したと、朝鮮中央通信は報じている。
新型戦術誘導弾は「弾頭の重量を2.5トンに改良した兵器システム」。核弾頭の搭載が可能だ。
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「相応の対応」も
バイデン氏は記者団に対し、発射実験は国連決議違反だとし、アメリカがパートナーや同盟国と協議していることを明らかにした。
「もし彼ら(北朝鮮)が行動をエスカレートさせれば、それ相応の対応を講じることになる」
一方で、「非核化という最終的な結果を条件に何らかの外交手段を講じる用意もある」とも述べた。
北朝鮮が今回、どのような種類のミサイルを発射したのかは依然不明だ。朝鮮中央通信は「改良型固体燃料エンジン」を搭載し、「低高度滑空跳躍型飛行方式の変則的な軌道の特性も再実証した」としている。
ただ、アメリカのドナルド・トランプ前政権との間における非核化交渉が停滞して以降、北朝鮮の兵器開発が進んでいることは浮き彫りとなった。
今回のミサイルについて、アナリストたちは昨年10月の軍事パレードに登場したミサイルと同じものではないかと指摘している。
「もしそうだとすれば、以前実験が行われた、『非常に大きな弾頭』を搭載している『KN-23』ミサイルの改良型とみられる」と、米ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)のジェフリー・ルイス氏は、ロイター通信に述べた。
このような新型ミサイルがあれば、北朝鮮はより重い核弾頭をロケットに搭載できるようになると、米マサチューセッツ工科大学の安全保障学教授のビピン・ナラン氏はツイートした。
核弾頭の小型化は難しいものの、北朝鮮がすでにその能力を持っているとの見方もある。