【東京五輪】 新採用の5競技 どんなスポーツで誰に注目?

著者 小林 誠

ケイティ・フォーキンガム、BBCスポーツ

来週開幕の東京オリンピックでは、新たに5競技、計34種目が追加される。若者を引きつける狙いがあり、「スポーツの都会化傾向」を反映したとされる。

どんな競技が今回のオリンピックで見られるのか。以下、紹介しよう。

空手

<基本>

日本の沖縄がルーツ。「形」と「組手」の2種目がある。

形は、あらかじめ決められた攻めと守りの技の演武を採点する。組手は選手が3分間、1対1で格闘。繰り出された技に対してポイントが与えられる。男女とも体重別に3階級ある。

出場選手は、組手60人、形20人の計80人。男女半数ずつ。

<注目選手>

世界選手権では日本選手が圧倒。沖縄出身の喜友名諒は、男子の形で3度優勝している。

だが、スペイン選手にも注意が必要だ。男子のダミアン・キンテロと、女子の世界選手権王者サンドラ・サンチェスは、共に形のトップ選手だ。

<豆知識>

ダミアン・キンテロ(スペイン)は航空技師。空手がオリンピック競技になると発表された後、仕事を辞め、空手に専念してきた。

スケートボード

<基本>

「ストリート」と「パーク」の2種目。選手は1人ずつ競技し、技の難易度や独創性が採点される。

ストリートは、手すり、階段、縁石、ベンチ、壁、坂などの障害物を利用し、制限時間内に技術やトリックを披露する。パークは、複雑な曲線が組み合わさったくぼみのあるコースで行われ、スピードをつけて空中に浮き上がった際の技などを競う。競技中には音楽が流される。

男女計4種目に、あわせて80人が出場する。

<注目選手>

女子パークのスカイ・ブラウン(イギリス)は13歳になったばかり。同国の夏季オリンピック史上、最年少の出場者だ。ただ、2019年世界選手権で3位に入っており、メダル獲得が有力視されている。

男子パークでは、アメリカのヘイマナ・レイノルズとトム・シャーが存在感を示す。シャーは空中で3回転する「1080」を初めて成功させた。

男子ストリートに出るナイジャ・ヒューストン(アメリカ)は、直近の世界大会で3連勝し、Xゲームズの優勝回数は12に達する。地元日本の堀米雄斗も上位をうかがう。

ブラジルのレティシア・ブフォニは、女子ストリートの有力選手。ここ数年は彼女を、若いパメラ・ローサ、10代のレイサ・レアル(共にブラジル)、日本の西村碧莉が猛追している。

<豆知識>

日本はメダルの半数をさらうと予想されている。にもかかわらず、日本ではスケートボードは今なお、困った子どもがする遊びとみなされている(代表チームの早川大輔コーチの話)。

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スポーツクライミング

<基本>

「スピード」、「ボルダリング」、「リード」の3種目の複合で競われる。

スピードは、高さ15メートルの壁を2選手が横並びで登る。先に着いたほうが勝ちと単純明快。

ボルダリングでは、高さ4.5メートルの急角度の構造物(ボルダー)に課題(ルート)が組まれ、それをどれだけクリアできるか競う。

リードは、高さ15メートルの壁を制限時間6分以内にどれだけ高く登れるかで勝敗が決まる。

各種目の順位を掛けて総得点を出し、点数が小さい上位8人が決勝に進出。あらためて3種目で競う。

男子と女子で20人ずつの計40選手が出場する。

<注目選手>

女子では、世界王者に6度輝いている、スロヴェニアのヤンヤ・ガンブレットが金メダルの有力候補。イタリアの新進気鋭の若手、ラウラ・ロゴラもメダル争いに絡むとみられる。

イギリスからは、2019年の世界選手権で銅メダルを獲得したショーナ・コクシーが唯一、東京大会に出場する。

男子の最有力は、チェコのアダム・オンドラ。世界チャンピオンに5度なっている。フランスのミカエル・マエムとバッサ・マエムは兄弟で競う。

スペインのアルベルト・ヒネスも注目の選手だ。高低差がわずかしかないエストレマドゥーラ州出身の18歳。オリンピック出場を決めた自らのことを、「サハラ砂漠からサーフィン選手が出たようなもの」と表現した。

<豆知識>

選手のシューズは極めて小さく、つま先が反り上がるほど。これにより、選手らは足で壁にしがみつきやすくなる。

サーフィン

<基本>

東京のオリンピックスタジアム(国立競技場)から100キロほど離れた千葉・釣ケ崎海岸で開催される。

30分の制限時間内に、できるだけ多く波をとらえて乗りこなす。10~12回乗るが一般的で、そのうちの得点の高い2回分だけが成績となる。

同じ波は2つとないため、審判は難易度、革新性、スピード、パワー、フローなど5つの判断基準で採点する。

勝ち抜き方式で、敗者復活戦もある。第1、第2ラウンドは1回4~5人で競い、第3ラウンドからは1対1の戦いになる。

男女各20選手が出場する。

<注目選手>

トップサーファーは、オーストラリアとアメリカに多い。ただ男子では、直近の6つの世界タイトルのうち4つを獲得しているブラジル勢も見逃せない。その中の2つは、ガブリエウ・メジーナが取っている。

世界王者に2度なっているジョン・ジョン・フローレンスは、「サーフィン界のマイケル・ジョーダン」と呼ばれるケリー・スレイターを下して、アメリカ代表の最後の枠を勝ち取った。

女子では、フローレンスと同じく米ハワイ出身のカリサ・ムーアが、4つの世界タイトルを獲得した経歴を引っ下げて東京入りする。

ステファニー・ギルモア(オーストラリア)も忘れてはならない。7度世界王者に輝いている彼女は、ユニフォームが華やかなことでも知られる。

<豆知識>

競技は7月25日~8月1日の間の4日間を使って繰り広げられる。日程が柔軟なのは、選手たちがベストな波をとらえられるようにするため。

野球・ソフトボール

<基本>

この2競技は、厳密にはオリンピック「新競技」ではない。だが、2008年北京大会以降、除外されてきた。

野球とソフトボールの大きな違いは、投手が上手投げ(野球)か、下手投げ(ソフトボール)かだ。

ともに予選はリーグ戦で争う。野球はそこから決勝トーナメントに入り、ソフトボールはすぐに、メダルがかかった試合になる。

どちらの競技にも6チームが出場。野球は男子だけ、ソフトボールは女子しかない。

バスケットボールと違い、野球のスター選手はオリンピックに出場しない。米大リーグ(MLB)のシーズンと重なっているためだ。

<注目チーム>

アメリカは過去2回のソフトボール世界選手権を制している強豪。ただ、オリンピックのタイトルは2008年北京大会で日本に奪われており、その奪還を目指す。

野球は、世界のトップ12カ国代表を集めて2019年に開かれた「プレミア12」を制覇した日本が、ホームグラウンドでのメダル争いの軸になりそう。

<豆知識>

日本の野球人気は非常に高い。第2次世界大戦後にアメリカ兵が多数押し寄せ、野球が一気に広まった。2018年の調査では、回答者の48%が最も好きなスポーツに野球を挙げた。

そのほかの新種目

7競技で男女混合の9種目が新たに追加される。

さらに以下の種目が新たに加えられる。

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