東京オリンピックのテニスは29日、暑さ対策として試合開始時間を午前11時から午後3時に遅らせて開催された。男子シングルス準々決勝では、第1シードのノヴァク・ジョコヴィッチ(34、セルビア)が錦織圭(31)に快勝。日中よりずっと負担が少なかったと述べた。
有明テニスの森でプレーしている選手たちが暑さへの苦情を述べたことを受け、主催者側が時間を変更した。
対策の必要性を訴えていたジョコヴィッチは、この日は暑さを心配する必要はほとんどなかった。2016年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの錦織を、6-2、6-0の1時間10分で難なく退けた。これで日本勢のメダルの可能性はなくなった。
ジョコヴィッチは試合後、「(午後)5時以降にプレーするのはまったく違う。当然、風が少し吹く」と話した。
「まだものすごく蒸し暑くて汗をたくさんかくが、熱波はない。蒸し暑さと相まって恐ろしいことになる日差しがない」
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「皮膚を替えたいくらいだった」
ジョコヴィッチはこの日の勝利で、五輪シングルスの勝利数を13に伸ばし、ロジャー・フェデラー(スイス)と並んだ。決勝に進出したことはまだない。
あと2試合勝って優勝すれば、同一年内に4大大会(グランドスラム)とオリンピックのタイトルをすべて取る「ゴールデンスラム」の望みをつなぐ。グランドスラム最後の全米オープンは8月下旬に開幕する。
一方、ジョコヴィッチと同じく暑さへの懸念を示していた、世界ランキング2位のダニール・メドヴェージェフ(25、ロシア・オリンピック委員会)は、2-6、6-7(5-7)でパブロ・カレニョブスタ(30、スペイン)に敗れた。
メドヴェージェフは第1セット終了後、ウェアを着替えるためいったんコート外に出た。28日の3回戦でも同じようにしていた。
「着ていたものをすべて取り替えた。経験したことないほど汗をかいていて、皮膚を替えたいくらいだった。ひどかった」と、メドヴェージェフは試合後に話した。
「恐ろしい状態だった。ボールをうまくトスできなかったし、トスできても目に汗が入ってきた。簡単にはプレーできなかった」
3時間近い試合をしてもう1試合
女子シングルス準決勝では、ベリンダ・ベンチッチ(24、スイス)が7-6(7-2)、4-6、6-3で、エレーナ・ルバキナ(22、カザフスタン)を下した。試合は猛暑の中、2時間44分にわたった。
ベンチッチはその後、ダブルス準決勝も戦って勝利を収めた。テニスが五輪競技に復帰した1988年以降、シングルスとダブルスの両方で決勝に進んだ5人目の選手となった。大坂なおみを破ったマルケタ・ヴォンドロショーヴァ(22、チェコ)と金メダルを争う。