福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を受け、日本の企業や団体に、中国から嫌がらせの電話が殺到している。日本は中国政府に対応を求めている。
大量の迷惑電話は、発信元として中国の国番号「86」が表示されている。
福島県のあるレストランチェーンには、1000件以上の電話がかかっている。
東京電力は、24日の放出開始後に発電所から3キロ以内の10カ所で採取した海水のトリチウム濃度は、いずれの地点でも検出限界値(1リットル当たり約10ベクレル)を下回っていたと、25日に発表。「分析値が放出停⽌判断レベル(1リットル当たり700ベクレル)および調査レベル(1リットル当たり350ベクレル)以下であることを確認」したと説明した。
日本当局によると、迷惑電話は福島第一原発からの処理水放出開始後に始まった。政府機関や学校のほか、水族館にまでかかってきているという。
電話をかけてくる人たちは中国語や日本語、英語を話し、時には乱暴な言葉も使っている。その内容は、処理水を放出するという日本の決定に反対するものだ。
中国側は、放出は「極めて利己的で無責任な行為」だとしている。
中国の税関当局は24日午後、日本の水産物の輸入を全面的に禁止すると発表した。同国はこれまでも、福島県や周辺地域の水産物を禁止していたが、これをさらに拡大した。
日本政府は原発周辺で採取した海水の放射性物質の検査を定期的に行い、近隣諸国や漁業団体の懸念を和らげようとしている。
今後3カ月間は、毎週の検査結果が公表される。
原発にためられている100万トン以上の処理水は、これから30年にわたり放出されることになっている。
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原子炉の冷却に使われた処理水は、原発が津波で大きな被害を受けた2011年以降、敷地内のタンクにたまり続けている。
日本は処理水は安全だとしており、国際原子力機関(IAEA)も放出計画を承認している。しかし、放出を停止すべきだとの批判の声も上がっている。
処理水は汚染水を多核種除去設備(ALPS)でろ過したもので、ほとんどの放射性物質が取り除かれている。ただ、水素の放射性同位体のトリチウムは除去できないため、放出前に処理水は希釈される。
環境省は、放出翌日の25日朝に原発周辺の11カ所で採取した海水サンプルについて、トリチウムの濃度が検出下限値未満(1リットルあたり7~8ベクレル未満)で、「人や環境への影響がないことを確認」したとしている。
放出に反対する声は韓国国内でも上がっている。
24日には、大学生とみられるグループが在韓日本大使館に突入しようとし、騒ぎとなった。
韓国は27日、放出プロセスを監視するために原子力の専門家を福島に派遣したと発表した。