日本で28日、処方せんなしでの緊急避妊薬(モーニングアフターピル)の試験販売が始まった。
緊急避妊薬は、全国145カ所の薬局で販売される。日本の現在のルールでは、性犯罪被害者を含む女性は、診療所や病院に行かないと緊急避妊薬を手に入れられない。
厚生労働省が募集したパブリックコメントでは、薬局での販売(オーバー・ザ・カウンター、OTC)を支持する声が圧倒的だった。
一方、権利擁護団体からは、試験販売の規模が小さすぎると批判が出ており、制限の撤廃を求める声があがっている。
厚労省は今回、調査研究の一環として試験販売を行う。
販売される「ノルレボ」は、「レボノルゲストレル」のジェネリック版。避妊していない性行為から72時間以内の服用が望ましく、80%の確率で妊娠を防げるという。
販売価格は7000円から9000円程度。購入できるのは16歳以上に限られ、16歳以上18歳未満の人は保護者の同意が必要になる。また、16歳未満の人に対しては薬局が産婦人科医などを紹介するという。
厚労省は2017年に初めて、処方なしの緊急避妊薬の販売を検討した。しかし、安易に手に入れられるようになると無責任な使用を助長するとして、OTC化には至らなかった。
しかし、先に行われたパブリックコメントでは、97%が緊急避妊薬のOTC化を支持。これが試験販売につながった。
世界では、約90カ国がこうした医薬品を処方なしで、薬局で販売している。
一方、日本での試験販売は全国6万軒の薬局の0.2%でしか行われていない。そのため、権利団体は不十分だと指摘している。
活動団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は28日、厚労省に対し、緊急避妊薬の迅速かつ全面的なOTC化を求める要望書を提出した。
同団体の共同代表の染矢明日香氏は、今回の試験販売について、年齢制限によって「未成年者が購入をためらってしまう」と指摘。「親に妊娠したかもしれないと言えない人がたくさんいる。性体験や妊娠への不安を話さなければいけないのはとても大変だ」と語った。
世界保健機関(WHO)は緊急避妊薬について、すべての国家家族計画プログラムに日常的に含めるよう求めている。
試験販売の結果によっては、日本でも全国的な展開に進む可能性がある。