野球のWBC、日本がアメリカ下し優勝 「世界が大谷を目撃」と米監督

著者 前田 亜紀

ベン・コリンズ、BBCスポーツ

野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、米マイアミで決勝があり、日本が前回優勝のアメリカを3-2で下し、3度目の優勝を果たした。

日本のスター選手の大谷翔平(28)は9回に投手として登板。最後はアメリカの主将で、ロサンゼルス・エンゼルスのチームメイトでもあるマイク・トラウト(31)を三振で仕留めた。

日本はWBCの最初の2大会(2006、2009年)で優勝していた。

大谷は大会の最優秀選手(MVP)に選ばれた。試合後の記者会見で大谷は、「今後の野球人生においても素晴らしい経験になったんじゃないかなと思います」と話した。

「小さいころから夢見てきましたし、この大会で優勝することを目標の一つにしてきたので(中略)自分にとって素晴らしい経験になっています」

大谷はベストナイン(ポジション別MVP)にも指名打者と投手で選ばれた。

米球界2大選手の対決

第5回の今大会は、最後の最後でメジャーリーグを代表する2選手の対決になった。

大谷は2021年、米大リーグ(MLB)史上初の、投手と打者の両方でオールスターゲームに選出された選手となった。

トラウトは2019年、総額4億2650万ドル(当時のレートで約480億円)とされる世界のスポーツ界の最高額で12年の延長契約にサインした。

大谷がこの日、満員の3万6098人の観客を前にトラウトを抑え込むと、チームメイトと日本のファンらが歓喜した。

トラウトは、「野球ファンの誰もが見たかった場面だったと思う。1回戦は彼の勝ちだ」と笑顔で話した。

アメリカのマーク・デローサ監督は、「今夜の勝者は野球界だ」と言い、こう続けた。

「マイキー(トラウト)が大谷相手に一発打って、思い通りの展開になるのを期待していた」

「世界中が大谷の大舞台で闘う活躍ぶりを見ることになった。台本でそうなっていたようだった。ただ、別の展開になってほしかった」

「日本の野球が世界に通用」

決勝で先制したのは、スター選手ぞろいのアメリカだった。2回表、フィラデルフィア・フィリーズの遊撃手トレイ・ターナーが、WBC単一大会記録と並ぶ今大会5本目のホームランを放った。

日本は直後の2回裏、村上宗隆のホームランなどで2-1と逆転。4回には岡本和真がホームランを打ってリードを広げた。

アメリカは8回、カイル・シュワーバーがホームランを放ち、1点差に迫った。しかし9回、大谷がトラウトとの対決を制し、日本が優勝を決めた。

大谷は試合後、「打たれても抑えても悔いの残らない球を投げたいなと思った。何とか抑えられて良かった」と話した。

「日本の野球が世界に通用したことがうれしい」

アメリカのデローサ監督は、「選手たちはがっかりしているが、チームとしてまとまった姿は、この上ないほど誇らしい。みんな本当に絆を深め、一緒にいることを楽しんでいた」と話した。

次回のWBCは2026年に開催の予定。大谷は日本が今後も勝ち続けることが大事だとの考えを示した。

大谷は試合後の会見で、世界一の選手について問われると、「きょう勝ったからと言って達成されたとは言えない。通過点としてそこに向かっていきたい」と返答。

日本のチームについては、連覇に向けてスタートしたばかりだとした。

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