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絞首刑による死刑執行は非人道的だとして、大阪拘置所に収容されている死刑囚3人が29日、国に絞首刑の執行差し止めと計3300万円の賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
日本では現在、死刑の執行方法として絞首刑のみが定められている。
原告の死刑囚3人は、3300万円の請求について、精神的苦痛への賠償だとしている。
3人は長年死の恐怖にさらされ、精神的苦痛を受けたと主張していると、共同通信は伝えた。
法務省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
死刑囚の代理人の水谷恭史弁護士は、この訴訟が日本における死刑制度の今後を議論するきっかけになることを望んでいるとした。
死刑めぐる訴訟と世論
日本の死刑執行をめぐっては昨年11月、死刑囚2人が死刑執行を当日に告知するのは違法だとして、国を相手に事前告知などを求めて大阪地裁に提訴した。
日本の死刑囚は、刑の執行を数時間前になって初めて知らされる。死刑囚が執行前に苦しまないようにするためだと国は説明している。
当時、原告側の植田豊弁護士は「死刑確定者は、毎朝死ぬかもしれないとおびえている」と説明した。
この訴訟から間もなく、兵庫県加古川市で親族ら7人を殺害し、殺人罪などで死刑が確定していた囚人ら3人の死刑が執行された。死刑執行は2019年12月以来2年ぶりだった。
人権団体などは長年、絞首刑は死刑囚の心の健康に影響を及ぼすと批判している。政府は死刑制度について国民の高い支持を得ているとしている。内閣府が2019年後半に実施した、1500人以上を対象とした世論調査では、国民の8割が死刑制度を支持すると回答している。
日本には現在、100人超の死刑囚がいる。