日本の石川県能登で1日午後4時10分ごろ、マグニチュード(M)7.6の強い地震が発生し、気象庁は推定5メートルの大津波警報を発令した。各地の道路が陥没したり亀裂が走っているほか、強い揺れで建物が倒壊し、人が閉じ込められている事案が複数起きているという。大津波警報は午後8時半までに解除されたが、津波警報は続いている。気象庁によると、午後4時から午後9時までに、震度1以上を観測した地震が59回発生した。警察庁は午後9時半、石川県七尾市内で2人が心肺停止になっていると発表した。
気象庁によると午後4時10分ごろ、石川県能登地方で震度7の地震が起きた。気象庁は、この地震によって同県の輪島港で1メートル20センチ以上の津波を観測したと発表した。
その後も、能登地方を中心に震度4前後の地震が頻発し、各地で津波が観測されている。
午後6時過ぎの気象庁発表によると、地震の発生場所は石川県能登地方(輪島の東北東30キロ付近) のごく浅い地点。石川県志賀町(しかまち)で、震度7を観測した。北海道から九州地方にかけて震度6強~1を観測したという。
午後9時過ぎの気象庁発表によると、午後4時から午後9時までに、震度1以上を観測した地震が59回発生した。震度7が1回、震度5強が3回、震度5弱が5回、震度4が14回、震度3が28回、震度2が8回という。さらに、石川県能登で長周期地震動階級4を観測したという。
気象庁によると、大津波警報が発令されたのは2011年3月の東日本大震災以来。
今後の見通しについて同庁は、「過去の事例では、大地震発生後に同程度の地震が発生した割合は1~2割あることから、揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度7程度の地震に注意してください。特に今後2~3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くあります。また、この地域では、3年以上地震活動が続いており、当面、継続すると考えられますので、引き続き注意してください。なお、今回の地震の揺れは従来より広範囲に広がっています」と説明し、注意を呼びかけている。
警察庁は午後9時半、石川県七尾市内において心肺停止者2人との情報を把握しており、確認中と発表した。NHKはこれについて、灯篭の下敷きになった男性と、倒壊した家屋の中から救助された女性の合わせて2人が心肺停止になっているとのことだと伝えた。
NHKは、気象庁が能登地方に推定5メートルの大津波警報を発令したと伝え、地元住民に「直ちに高台などへ避難するよう」繰り返し呼びかけている。英語で「EVACUATE!」と避難を促すテロップも表示されている。
石川県のほか、新潟県や富山県、山形県、福井県、兵庫県にも、津波警報が出ている。
原子力規制委員会は、停止中の北陸電力志賀原発(石川県志賀町)に異常は確認されていないと発表。東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)と関西電力の大飯、高浜、美浜の各原発、日本原子力発電敦賀原発(いずれも福井県)でも、異常は確認されていないと発表した。
林芳正内閣官房長官は午後7時過ぎの記者会見で、輪島市で火災が発生しているほか、建物倒壊で人が生き埋めになっている事案が6件起きていると明らかにした。
地震の影響で、各地で新幹線や在来線の運行に影響が出ている。
岸田文雄首相は大津波警報の発令を受けて、地域住民の避難を徹底するよう関係閣僚に指示。津波や避難に関する情報を国民に的確に伝え、被害の状況・実態を一刻も早く把握し、地方自治体と連携しながら人命第一で政府一体となって災害対応に当たることなどを指示したと、記者団に話した。
韓国気象庁によると、北東部の江原道の港に午後6時20分過ぎ、45センチの津波が観測された。