ケイティ・フォーキンガム、BBCスポーツ
テニスの全仏オープンが30日開幕し、第2シードの大坂なおみ(23)が1回戦で勝利した。試合後、事前の宣言どおり記者会見には臨まなかったため、主催者側は大坂に罰金を科すとともに、引き続き会見に応じない場合は4大大会(グランドスラム)への出場を認めない可能性もあると警告した。
女子世界ランキング2位の大坂は、同63位のパトリチア・マリア・ツィグ(ルーマニア)を6-4、7-6(7-4)のストレートで下した。
大坂は26日、メンタルヘルス(心の健康)を守りたいとして、全仏オープンでは記者会見に出席しないと表明していた。
この日は試合後、慣例となっているコート上での勝者インタビューに応じた。大坂は「クレーでの動きを改善中だ。これから試合を重ねていけば、よくなっていくと思う」と述べた。
しかし、会見場での取材は受けなかったため、1万5000ドル(約165万円)の罰金が科された。
4大大会の規則では、選手が規定のメディア取材に応じない場合、2万ドル(約220万円)の罰金が科されうる。女子テニス協会(WTA)は、選手には「テニスとファンに対する責任がある」とし、大会中にメディアと話をするよう求めている。
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4大大会の主催者は共同で声明を発表。大坂に対し、「より多額の罰金や今後のグランドスラムへの出場停止」の処分を受けることになるとしている。
大坂は30日の遅い時間に、ツイッターで、「怒りは理解が足りないことだ。変化は人々を落ち着かなくさせる」と心境を述べた。
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4大大会側の主張
4大大会の主催者は声明で、大坂が26日に記者会見ボイコットの声明を出した後、全仏オープンの主催者が大坂に再考を求めるとともに、大坂の健康状態について確認しようとしたが、うまくいかなかったと説明。
大坂が4大大会の主催者と関わろうとしなかったため、彼女に対して支援の提供を呼びかけると同時に、「彼女の義務を指摘する」内容の文書を送ったとした。
また、「4大大会規則の核となる要素として、選手は試合結果に関わらずメディア取材に応じる責任があるということがある。この責任はテニス、ファン、選手自身のためのものだ」とした。
さらに、「大坂なおみには、今大会中にメディア取材の義務を無視し続ければ、行動規範へのさらなる違反に問われる可能性があると通告した」と説明。
「違反が繰り返されれば、大会への出場を認めないなど制裁が強まり、より多額の罰金や今後のグランドスラムへの出場停止につながる、本格的な調査を招くことが考えられる」とし、規則は「全選手が完全に同じ扱いを受けることを保証する」ために存在すると主張した。
大坂選手の訴え
大坂選手は26日にツイッターに投稿した声明で、試合で負けた選手に対して質問に答えるよう求めるのは、「倒れている人を蹴りつける」行為に相当すると訴えた。
「アスリートのメンタルヘルス(心の健康)への配慮がまったくないと感じることが多い。記者会見を見たり、臨んだりすると、いつもそう思う」
大坂選手はまた、「会見場に座ると、これまで何度も質問されてきたことを聞かれたり、不信感を覚える質問を受けたりする。私に対して不信感を抱えている人たちの前には、もう出ない」と表明した。
これに対し、テニスやそれ以外のスポーツの選手らから称賛の声が上がった。だが多くは、メディア取材への対応は「仕事の一部だ」との考えを示した。
テニス関係者らは
BBCのラッセル・フラー・テニス担当編集委員は、4大大会主催者が共同声明を出すのは珍しいことで、大きな行動だと説明。大坂は今回、表現が好ましくない声明を出すなど、判断を誤ったと思えるとした。
イギリスのネイオミ・ブローディ選手はBBCラジオで、賞金の大部分はメディアの放映権料が原資となっていると指摘。メディアに関わらないなら大会に参加すべきではないと述べた。
元イギリスナンバー1のローラ・ロブソン選手は、記者会見で泣きそうになった経験は多くの選手に共通するだろうと大坂の主張に一定の理解を示した。その一方で、取材対応は仕事の一部だと常に考えてきたとし、試合後30分以内とされている会見開始の時間を遅らせる場合があるなど、大会主催者側も選手に一定の配慮をしているとBBCラジオで話した。
元イギリス選手のネイオミ・キャヴァデイは、大坂がWTAや全仏オープン主催者らと事前協議なしに取材拒否の声明を出したのは対立的だと、BBCラジオで評した。