韓国軍は28日、北朝鮮が同日朝に日本海へ向けて飛翔体を発射したと発表した。
発射の直後、米ニューヨークで開催中の国連総会で北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使が演説。自衛権と兵器実験の権利を主張した。
北朝鮮は今月初めにも弾道ミサイルと巡航ミサイルの発射実験を行った一方、韓国との和平協議にも意欲を見せている。
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アメリカ軍は、ミサイルの発射については関知していたが、駐留部隊や同盟国に脅威はなかったと発表した。
しかし、同軍のインド太平洋司令部は、ミサイル発射は北朝鮮の「非合法の兵器開発が起こす不安定化の影響を強調するものだ」と述べた。
日本メディアによると、防衛省はこの飛翔体が国連が制裁で禁じている弾道ミサイルの可能性があると指摘している。
また政府高官は、飛翔体は日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられると説明したという。発射されたのは1発で、船舶などの被害は確認されていないという。
菅義偉首相は、「政府はこれまで以上に警戒監視を強め、発射状況を現在まさに分析中だ」と述べた。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国家安全保障会議に対し、ミサイル発射と共に、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹で有力者の金与正(キム・ヨジョン)氏の最近の発言の意図についても分析するよう指示したと述べた。
金与正氏は24日、韓国が「敵視政策」を終わらせるなら南北協議を再開するとの考えを表明している。
武器製造の権利を主張
28日のミサイル発射は、国連での金大使の演説の直前に行われた。
金大使は、北朝鮮には兵器システムを「開発し、実験し、製造し、保有する」権利があると主張。またAFP通信によると、同国は「自衛し、国家の安全と平和を守るために、防衛力を拡充している」と述べた。
北朝鮮は、韓国の軍事活動における二重基準を繰り返し批判している。
韓国は先週、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行ない、世界で7番目にこの技術を保有している国となった。
文大統領は、このミサイルによって韓国は「いつでも北朝鮮の挑発に対応できる抑止力を手に入れた」と述べている。
こうした中、北朝鮮は28日に最高人民会議を開催する予定。
同国は食糧難に見舞われているほか、新型コロナウイルスの流行を受けて中国との貿易のほとんどを中断。1年以上にわたって孤立状態にある。
今年3月には、制裁を否定した上で弾道ミサイルの発射実験を行い、アメリカと日本、韓国から厳しい批判を浴びた。
さらに8月には国際原子力機関(IAEA)が、北朝鮮は寧辺にある原子炉を再稼働させているとみられると発表し、「深く憂慮」すべき動きだと述べた。