北朝鮮、新型長距離巡航ミサイルを実験 日本列島が射程範囲に

著者 橋本 理恵

北朝鮮の国営メディアは12日、新型長距離巡航ミサイルの実験を行ったと発表した。射程範囲には、日本列島が含まれるという。

朝鮮中央通信(KCNA)は、週末に行われた実験で、ミサイルが1500キロ先まで飛行したと伝えた。

このミサイルは、国連安全保障理事会の決議には違反していない。北朝鮮は過去に、安保理決議に違反し、厳しい制裁を受けている。

北朝鮮ではこのところ、深刻な食糧難や経済危機が報告されているものの、兵器開発は可能だと示された。

KCNAは、「国の安全をより確実に保障し、敵対勢力の軍事行動を強力に封じ込めるための、効果的な抑止力をまた新たに保有する」という「戦略的重要性」が、今回の巡航ミサイル実験で得られたと説明した。

これに対し米インド太平洋軍は、「北朝鮮が引き続き軍事プログラムを拡大し、隣国や国際社会に脅威を与えている」と述べた。その上で、アメリカは引き続き韓国と日本を守ることに「専念する」と述べた。

日本の加藤勝信官房長官は13日午前の記者会見で、「日本を取り巻く地域の平和と安全を脅かすものであり、日本としては懸念を有している」と述べ、「引き続き米国・韓国と緊密に連携しながら必要な情報収集、警戒監視を行っていく」と話した。

韓国の聨合ニュースによると、韓国軍はアメリカの情報機関と協力して今回のミサイル発射について分析を行っている。

また、今週には日米韓の高官が集まり、北朝鮮の非核化について協議を進める予定。

国連安保理は、北朝鮮の弾道ミサイル開発を禁止している。弾道ミサイルは巡航ミサイルに比べ、強力な弾頭を数多く積載できるほか、射程範囲も広く、航行速度も速いとされている。

北朝鮮は今年3月、安保理により制裁を否定し、長距離弾道ミサイルの実験を敢行。アメリカや日本、韓国から厳しい非難を受けた。

また今月9日には、建国73年を記念する軍事パレードを開催した。このパレードでは主だった弾道ミサイルは登場しなかったものの、防護服とガスマスクとみられるものを着用した人々が行進した。COVID-19の拡大防止のために特別部隊が作られたことを示している可能性があると、BBCのローラ・ビッカー・ソウル特派員は伝えた。

世界保健機関(WHO)によると、8月19日時点で、北朝鮮はCOVID-19の患者は1人も見つかっていないとしていた。ただ、これは非現実的だという指摘もある。

WHOの週ごとの状況報告では、3万7291人がウイルス検査を受け、全員陰性と判明したとされる。検査対象には、医療従事者やインフルエンザに似た症状が出ている人も含まれていたという。

一方で金氏は、北朝鮮が食糧不足に直面していると認めている。支援団体からは、国民が飢え死にし始めており、経済も崩壊寸前だとする報告が出ている。

こうした状況で、核開発計画は進められている。国連の国際原子力機関(IAEA)は先月、北朝鮮が核兵器用のプルトニウムを作り出せる原子炉を、再稼働させたとみられると発表。「深く憂慮すべき」動きだとした。

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