トヨタ、9月に世界で4割減産へ 東南アジアからの部品供給が不足

著者 山本 浩

トヨタ自動車は19日、9月の世界生産を4割減らすと発表した。東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大などに伴う部品供給不足が理由という。

世界最大の自動車メーカーであるトヨタは、9月に約90万台の生産を計画していたが、約36万台減の約54万台にするという。

今回の減産決定は、アジア各地での新型ウイルス感染の再流行が供給に打撃を与えていることを受けてのもの。

トヨタは8月中に日本の工場でも生産を減らす方針。

9月の約36万台の減産は、アジアとアメリカの工場が対象となる。

トヨタはイギリス中部ダービーシャー州バーナストンに自動車工場を、フリントシャー州ディーサイドにエンジン工場を所有する。

同社は声明で、自動車業界に世界的影響を与えている半導体の供給不足の影響を最小限に抑えるため、最大限の努力をしていると説明。イギリスでの生産については、両工場は計画通りに稼働しているとした。

トヨタの株価は19日に4.4%下落し、1日の下げ幅としては2018年12月以来最大となった。

自動車メーカーへの影響

世界第2位の独フォルクスワーゲン(VW)も、さらなる減産を余儀なくされる可能性があると警告している。

新型コロナウイルスのパンデミックは、電話やテレビ、ゲーム機などの半導体を使う家電製品の需要を押し上げた。

すでに年初に減産したVWは19日、「私たちは現在、第3四半期の半導体供給について、非常に不安定で厳しいものになると予想している」とロイター通信に述べた。

「生産にさらなる変更を加える可能性は排除できない」

米ゼネラル・モーターズ(GM)や米フォード、日産、独ダイムラー、独BMW、仏ルノーといった、ほかのトヨタのライバル企業は世界的な半導体不足に直面し、すでに生産を縮小している。

一方でトヨタはこれまで、フランス、チェコ、トルコで夏季の操業停止を1週間延長したことを除けば、他社のような措置を取らずに済んでいた。

新車には通常、数十個のマイクロチップが搭載されるが、トヨタは10年前の東日本大震災後に策定した事業継続計画(BCP)の一環として、半導体と呼ばれるチップを大量に備蓄し、それがうまく機能していた。

「最悪の事態はこれから起きる」

半導体不足の影響を受けている企業は、自動車メーカーから小型家電メーカーまで多岐にわたっている。

昨年に米アップルがiPhoneの発売時期を延期し、Xbox(エックスボックス)やプレイステーションといった最新のゲーム機の需要が高まり、生産が追いつかなくなった。そうしたことから、半導体不足の問題が明るみに出た。

以来、テクノロジー企業が次々にその影響を警告している。

そして先月には、米半導体メーカー「インテル」のパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が、世界的な半導体危機の最悪の事態はこれから起きると述べた。

ゲルシンガー氏は半導体不足は「今年後半」に悪化し、供給が正常に戻るまで「1~2年」かかるだろうと予測した。

この問題に対処するため、ジョー・バイデン米大統領は大統領令に署名し、同国内での生産を増やすために370億ドルを拠出すると約束した。

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