【2023年サッカー女子W杯】 日本、準々決勝敗退 スウェーデンに1-2

著者 加藤 由美

サッカーの女子ワールドカップ(W杯)は11日、準々決勝があり、日本は1-2でスウェーデンに敗れ、ベスト4進出はならなかった。

この日の試合は、ニュージーランド・オークランドのイーデン・パークで午後7時半(日本時間同4時半)に始まった。今大会はオーストラリアとニュージーランドの共同開催。

世界ランキング11位の日本は、序盤から格上のスウェーデン(同3位)に圧倒された。

スウェーデンはキックオフ直後から攻勢に出て、日本にプレッシャーをかけ続けた。前半はスウェーデンが先制し、日本はシュートを1本も打てない苦しい展開となった。

後半、スウェーデンが追加点を挙げてリードを広げたが、日本は徐々にボールを保持する時間が長くなり、終盤にかけて反撃を試みた。

日本は1点を返したが、1-2でスウェーデンに敗退。準優勝した2015年カナダ大会以来2大会ぶりの4強入りを逃した。

この試合の前には別の準々決勝があり、スペインが延長戦の末、2-1でオランダに勝利した。スペインとスウェーデンは15日に準決勝を戦う。

今大会初めて先制点許す

日本は前半開始早々、コーナーキックのチャンスをつかむも、相手ディフェンスに阻まれて得点のチャンスにはつながらなかった。

序盤はスウェーデンがボールを細かくつなぎ、右サイドから攻勢を強めた。一方の日本はパスの精度を欠いた。

両チームともシュートを打てない状況が続いたが、前半25分、スウェーデンのFWスティーナ・ブラックステニウスがDF熊谷紗希に競り勝ちペナルティーエリア内でシュートを放った。シュートは枠を外れた。

28分、DF清水梨紗が右サイドからクロスを入れた。しかし、これに反応したMF杉田妃和とMF宮澤ひなたには合わず、チャンスを逃した。

そして32分、日本が今大会初めて先制点を許した。スウェーデンのフリーキックをGK山下杏也加がパンチングではじくもクリアしきれず、ゴール前で混戦に。最後はDFアマンダ・イレステットがゴール右に蹴り込んだ。

スウェーデンは42分にも、中央からMFコソバレ・アスラニがゴール右に強烈なシュートを放った。これはGK山下が横っ飛びではじき、辛うじて追加点を逃れた。

日本はシュート0本のまま前半を終えた。

終盤に猛攻、1点返す

後半も早々から苦しい展開が続いた。6分、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によって、スウェーデンのコーナーキックの際にMF長野風花のハンドがあったと判定され、スウェーデンがペナルティーキック(PK)を獲得。MFフィリパ・アンイエルダールがゴール左に決め、追加点をあげた。

日本は2点差をつけられてから、次第に本来のパス回しを取り戻し、反撃に出た。

後半18分、途中出場のMF遠藤純が左サイドからあげたクロスボールに合わせ、MF藤野あおばが右足でシュートを打ったが、枠外に外れた。

5分後には、右サイドからドリブルで切り込んだ藤野がグラウンダーのクロスを入れた。ボールが相手DFにあたってこぼれたところをMF長谷川唯がシュートを放つも、枠を大きく外れた。

その後も藤野がペナルティーエリア内でシュートを打ったが、相手GKに阻まれた。

日本に決定的チャンスが訪れたのは29分。ドリブルでエリア内に入ったFW植木理子がファウルを受け、PKを獲得した。しかし、植木が放ったシュートはクロスバーに当たり、得点にはならなかった。

その後、藤野がペナルティーエリア近くで倒されてフリーキックを得た。直接ゴールを狙ったが、またしてもクロスバーに弾かれ、得点につながらなかった(42分)。

直後、エリア内でこぼれたボールを途中出場のMF林穂之香が蹴り込み、日本はようやく1点を返した。林は今大会初ゴール。

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1点を追う日本はアディショナルタイム(10分間)突入後も懸命に攻め続けたが、追加点をあげられないまま、終了のホイッスルが鳴った。

この試合、ボール支配率は日本50%、スウェーデン50%だった。シュート数は日本が11本で、スウェーデンは15本。枠内に飛んだ日本のシュートが3本なのに対し、スウェーデンは6本だった。

「勝ちにつなげたかったが、胸を張ってほしい」

試合後、日本の池田太監督はNHKで放送されたインタビューで、「まずは、このスタジアムに来て応援してくださったみなさん、テレビの前で日本から応援してくださったみなさん。本当に力になりました。その力でここまでチームは勝ち残って、勝ち上がってこられました。本当に感謝しています、ありがとうございます」と、ファンへの感謝を述べた。

この日の試合で難しかった部分については、「やはり我々のプレッシャーをかけにいくと裏側を走られたり高さを使われたりと、それは相手のストロング(強み)だとわかっていたこと。我々の攻撃の時間をもう少し長く作りたかったというのもあるが、それでも後半にしっかり戦う姿勢をみせて(1点を)返してくれたこと、最後まで諦めず戦ってくれたことを誇りに思う」と話した。

選手たちには試合後、「いままでの戦い(のこと)、それと、これからもなでしこジャパンは続いていくという話をした」と述べた。

試合で足りなかった部分について問われると、「いますぐにいろんなことを整理するのは難しい」としつつ、「選手たちが一試合一試合、そしてここまで来る準備も含めて、日本らしさ、なでしこらしさを見せてくれたと思う。その中で、ひとつの、いろんな勝負の駆け引きや勝負所、そういったところできょうは勝ちにつなげたかったが、胸を張ってほしい」と語った。

主将の熊谷は、「結果がすべてなので、負けて終わったのは本当に悔しいですけど。いまこの状態で自分の試合を振り返るのは難しいと思うが、自分たちにはチャンスもあったと思うし、最後取り返すチャンスはいくらでもあったので、あとちょっと届かなかったところが、自分たちの力のなさかなと思う」と涙ぐみながら話した。

そして、「とにかく悔しいが、一緒に戦ってくれた仲間に感謝したい」、「もう少しみんなとやりたかったし、少しでも前に進むことが日本の女子サッカーの未来に絶対つながると思っていたので少しでも前に進みたかったが、この結果をしっかり受けとめるしかないのかなと思う」とした。

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