東京オリンピックは28日、体操男子個人総合で橋本大輝(19)が金メダルを獲得した。日本勢の3連覇となった。一方、柔道女子70キロ級では新井千鶴(27)が金メダルを勝ち取った。
有明体操競技場であった体操男子個人総合の決勝は、24人でメダルを争った。残り1種目となった時点で肖若騰(中国)がトップ。ニキータ・ナゴルニー(ロシア・オリンピック委員会)、橋本、孫煒(中国)の順で続いた。
この上位4人は全員、総合得点が73点台という大接戦となった。北園丈琉(18)は5位につけた。
上位4人の最後の種目は鉄棒。先に演技した肖は離れ技を着実にこなし、着地も決め、総合得点を88.065に伸ばした。続くナゴルニーは着地で足がわずかに動くなどしたため、88.031。僅差で肖に及ばなかった。
全選手の最後に演技した橋本は、動きの大きな回転技と離れ技を正確に決めた後、最後の着地もほぼ完璧に決めた。総合得点は88.465となり、激しい勝負に決着がついた。
橋本はテレビインタビューで、「言葉では言い表せないくらい、というか人生で一番うれしい。この瞬間は声で表せない」、「(団体の)メンバーが応援してくれたので、感謝の演技ができたかなと思っている」と話した。
北園は5位
北園は最後のゆかで躍動感ある演技をみせ、86.698で5位に入った。
直後のテレビインタビューで、北園は「目標は優勝だったので悔しさはあるが、今できる完璧な演技はできたと思うので達成感はある」と思いを述べた。
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橋本の優勝について聞かれると、「これからは僕たちが引っ張らないといけないと思う。大輝くんに食らいついて負けないようにがんばりたいと思う」と意気込みを語った。
この種目、橋本の金メダル獲得で、内村航平の2連覇に続く日本勢の3大会連続優勝となった。
イギリスのジェイムズ・ホールは8位、ジョー・フレイザーは9位だった。
初出場でつかんだ金メダル
日本武道館であった柔道では、オリンピック初出場の新井が3回戦から登場。マリア・ペレス(プエルトリコ)に大外刈りを決めて一本勝ちした。準々決勝はジョヴァンナ・スコッチマロ(ドイツ)に対し、体落としと縦四方固めの合わせ技一本で勝利した。
準決勝はマディナ・タイマゾワ(ロシア・オリンピック委員会)と対戦。延長に入り、新井の関節技に主審はいったん一本を宣言したが、ビデオ判定で取り消しに。16分を超える長い試合となり、最後は新井が絞め技で一本勝ちした。
決勝の相手はミヒャエラ・ポレレス(オーストリア)。1分過ぎ、新井は小外刈りで技ありを取ってリード。そのまま4分の試合時間が終了し、勝負がついた。
「何度もくじけそうになった」
新井は直後のテレビインタビューで、「うれしいです。その一言です」と気持ちを表現。
「一本取りにいこうという気持ちで、悔いを残してこの大会を終わらないように攻め切ろうと思った。この舞台に立つために1年1年、自分が一番になるという思いで積み上げてきた。そういう自分に悔いだけは残したくないと思って、気持ちで戦った」と述べた。
2016年リオデジャネイロ五輪の代表を逃してからの5年間については、「何度もくじけそうになったが、自分の信念をぶらさずにここまでやってきて、結果がついてきて本当によかった」と話した。
そして、「家族がどんな時も『ちづは強い』と言い続けてくれた。両親、兄をはじめ、たくさんの方に感謝の気持ちでいっぱいです」と述べた。
男子90キロ級の決勝では、ラシャ・ベカウリ(21、ジョージア)がエドゥアルド・トリッペル(ドイツ)を下して優勝した。今大会初めて、柔道男子で日本人以外が金メダルを手にした。
向翔一郎(25)は3回戦でクリスティアン・トート(ハンガリー)に大内刈りで一本負けした。
順位