東京オリンピックで猛暑が懸念される中、正式な開幕を数時間後に控えて23日に行われたアーチェリー女子の予選で、ロシア選手が一時気を失った。
スヴェトラーナ・ゴムボエワ(23)は、自分のスコアをチェックしていたところで気を失って倒れた。間もなく意識を取り戻し、担架で退場した。
専門家は数日前から、東京の蒸し暑さは選手を脅かす重大な脅威になりかねないと話していた。
環境省は熱中症警戒アラートを出し、一般の人は屋外での運動は中止するよう呼びかけていた。
ロシア・オリンピック委員会のコーチ、スタニスラフ・ポポフは「この暑さの中で彼女は1日中立っていられなかった」と話す。
「私の記憶では、こんなことが起きたのは初めてだ。これまでトレーニングしていたウラジオストクも同じような天気だったが、ここは湿度の影響が大きい」
砂が熱すぎると苦情
アーチェリー場は競技初日の23日、気温が33度前後に達した。選手たちは水分補給をしながら暑さをしのぎ、サポートスタッフは日陰に身を寄せた。
一方、ビーチバレーの会場では、選手から砂が熱すぎて踏めないという苦情が出たために、コートに水がまかれたという報道もあった。
前回東京で開かれた1964年のオリンピックは、暑さを避けるため秋に繰り延べになった。
今回はマラソンと競歩が札幌市に変更され、馬術の馬のためのミストシャワーや審判のための冷却ベストなど、アスリートらのリスクを抑えるためのさまざまな対策が講じられた。
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「急な変化に対応できない」
一方、23日に海の森水上競技場で行われたボート競技では、選手たちが強風との闘いを強いられた。
25日に行われるダブルスカルの準決勝進出を決めたイギリスのジョン・コリンズ(32)は「ある意味で、風がこれだけ強くても、水がとてもこぎやすい状態なのは本当によかった」と振り返った。
「リオ(2016年オリンピック)ではボートが湖の片側でばたついて、コースはこげない状態だったことを思い出す。その意味ではちょっと安心した」
ただ、暑さは別問題だった。コリンズのチームメートのグレアム・トーマス(32)は、2人ともアイスパックとエアコンを使って暑さをしのいだと話した。
「急な変化にちょっと対応し切れない。部屋でエアコンをうまく調整するのはいつも難しい」
「どのくらい冷たくしたらいいのか? 涼しい場所から暑い場所に行くと、ちょっと頭がクラクラする」
サーフィンは高波に期待
日本のこの時期は暑いだけでなく、台風の季節でもある。
その恩恵を受けるのが、大きな波を楽しむサーフィンだ。
国際サーフィン連盟のフェルナンド・アギーレ会長は「いい波が来そうだ。日本の沖合いに強い台風があって、波が大きくなっている」とコメントした。
オリンピック競技に初採用されたサーフィンは、千葉・釣ヶ崎海岸サーフィンビーチで25日に初日を迎える。選手たちは、波が小さいと多くの人にテクニックを見てもらいにくくなると心配した。
「これまでのところ波はちょっと小さいが、これから大きくなって、26日にはいい風が吹きそうだ。どんな競技か世界に示すのに格好の舞台となるだろう」と、ニュージーランドのマット・スコリンジ監督は話した。