東京オリンピックの男子10メートル高飛び込み決勝が7日あり、イギリスのトム・デイリー（27）が銅メダルを獲得した。
デイリーとメダルを争った中国人選手2人は、曹縁（26）が金、楊健（27）が銀を獲得した。
デイリーは7月26日、男子シンクロナイズドダイビング10メートル高飛び込みで、マティ・リーと共に待望の金メダルを獲得していた。
7日の決勝は始終リラックスした様子で集中力を保ち、メダル獲得が決まるとプールサイドで喜んだ。デイリーにとっては4回目のオリンピック出場で、通算4個目（銅は3個目）のメダルだった。
「やっとここまで来た」
「今回のオリンピックがこうなったことに、とても満足している」。デイリーはBBCスポーツの取材にそう振り返った。「今の自分は違うアスリートだと感じる。そしてやっとここまで来た」。
「私はずっとこうなることを夢見ていたけれど、もし私が金と銅を取るだろうと他人に言わたら、きっと笑い飛ばしていただろう！」
「母国のみんなに大きなありがとうを届けたい。特に夫のランスに。夫は私を支えてくれ、私を我慢してくれて、あまりに多くを犠牲にした」
「父がここにいてくれて、今回のオリンピックで私がメダル2個を獲得するのを見てくれていたらと思う。父は飛び上がって、多分今頃はプールの中にいたんじゃないかな。私は母国からの愛情と応援で胸がいっぱいになっている」
「飛び込みはしばらく休む。気分が上がり、うまくいっていて、体の調子もいいので……しばらく様子を見る」
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中国の曹は3種目で金
7日の決勝を制した曹は、オリンピック史上初めて、飛び込みの違う3種目で金メダルを手にした。曹はロンドン大会のシンクロナイズド10メートル高飛び込みと、リオデジャネイロ大会の個人3メートル板飛び込みの金メダリストだった。
決勝で中国の2人は完璧に近い演技を求められた。デイリーは素晴らしいスタートを切り、3回目を終えた時点でリードしていた。
デイリーは、4回目の小さなミスが結果的に響いたが、5回目の演技は対戦相手からも喝采を浴びた。しかし続いて登場した曹と楊が5回目も見事な演技を決め、トップの座を守った。
競技を終えてカメラに手を振り、母国の人たちに声を届け、コーチと抱き合うデイリーは、肩の荷が下りた様子だった。
デイリーがリーと共に金メダルを獲得した時には喜びを爆発させ、デイリーが東京大会で披露する最後の演技を楽しみにしていたイギリスのファンにとって、記憶に残る締めくくりだった。
記憶に残るデイリーの実績
デイリーのオリンピックの夢が始まったのは11歳の時。金メダルが欲しいとBBCスポーツに宣言した。
その16年後、リーと共にシンクロナイズドダイビング10メートル高飛び込みで金メダルを獲得し、ついにその夢をかなえる。
表彰式で涙を流し、感極まった様子でインタビューを受けるデイリーは、プレッシャーから解き放たれた様子だった。
15歳で世界選手権に優勝し、過去のオリンピックで銅メダル2個を獲得していたデイリー。東京でまた新たなメダルが加わった。
しかしプールの外では何度も困難を乗り越えてきた。学校でいじめに遭い、父が2011年に亡くなり、2013年には自身の性的指向を公表した。
そのデイリーが今、自らも父親になり、イギリスが最も誇る飛び込み選手、そしてスポーツ界で最も有名なゲイのアスリートとして、LGBTQ+コミュニティが憧れるロールモデルになった。
東京ではその全てを自分の中に取り入れて、一般のイギリス人があまり目にしない形で、自分の趣味を楽しむ姿を見せることもできた。
テレビカメラは飛込女子3メートル決勝の観客席で、デイリーが編み物をする姿をとらえた。SNSは騒然となり、デイリーは数日後、自身が完成させた作品を披露。編んでいたのはオリンピックをテーマにしたウールのセーターだった。
デイリーは、10メートル高飛び込み決勝にもそのリラックスした心で臨み、演技の合い間に笑顔で手を振っていた。
今回のメダルでデイリーにまたレガシーが加わった。しかし今回は初めてオリンピックチャンピオンとして東京を発つことができ、最高の形で大会を終える。
「金メダル獲得の安心感は絶大」
2016年オリンピック板飛び込みで金メダルを獲得したクリス・ミアーズ
トム・デイリーにとって本当に素晴らしいオリンピックだった。彼は人生に対する見方が変わり、自らを楽しんでいるように見える。
金を獲得した安心感は絶大だ。彼にとっては4回目のオリンピックだったが、多分心の中には次に向けた野心がある。しかも次は4年後ではない……わずか3年後だ。
飛び込みをやるときは、良くても悪くても、次に移らなければならない。彼は前の回で後退した後、5回目で取り戻した。彼は競争圏に自分の身を置くことが非常にうまい。
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