東京パラリンピックに出場予定だったアメリカ競泳女子のベッカ・マイヤーズ選手(26)が、個人アシスタントの同行が認められないとして、棄権することになった。
マイヤーズ選手は耳が聞こえず、目も見えない。2017年以降は、さまざまな世話をするパーソナルケア・アシスタント(PCA)として通常、国際大会に母親が同行している。
しかし東京パラリンピックは、新型コロナウイルス対策で、水泳選手のPCAはチーム全体で1人に制限されている。
マイヤーズ選手は、棄権という「胸が張り裂けそうな」決断をしなくてはならず、「打ちのめされている」とツイッターに投稿。
「腹が立ち、がっかりしている。何より、自分の国を代表できないことが悲しい」とした。
また、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、彼女が東京大会に出場するための「妥当で、なくてはならない配慮を繰り返し拒んだ」と主張した。
「同じ痛みを味わわせたくない」
マイヤーズ選手はツイッターの投稿で、「(新型ウイルス感染症の)COVIDにより、新たな安全対策が導入され、必須ではないスタッフが制限されている。これは正しいことだ。でも私が競技をするには、信頼できるPCAが不可欠だ」と訴えた。
その上で選手は、「2021年にもなって、なぜ私は障害者の権利のためにまだ闘わなくてはならないのか? 未来のパラリンピック選手に私と同じ痛みを味わってほしくないという思いで、私は声を上げている。もうたくさんだ」と結んだ。
マイヤーズ選手は、3回目のパラリンピック出場となる予定だった。2012年ロンドン大会には17歳で出場。銀メダル2個と銅メダル1個を獲得した。2016年リオ大会では、3個の金メダルを勝ち取った。
BBCはUSOPCにコメントを求めている。
五輪後に観客について決定
オリンピック・パラリンピックが開かれる東京は現在、新型ウイルスの感染が急拡大しており、緊急事態宣言が出されている。
選手と関係者には保健衛生と安全の観点から、厳しい措置が適用されている。東京都内で開かれる競技はすべて無観客になる。
パラリンピックは8月24日から9月5日まで開催開催される。観客についてはオリンピックの後に決定の予定。